Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
伸子は、ある日僅かの金を持って、来合せた保と三越に出かけた。暑いが、さっぱりした風に吹かれて三越の赤い旗が、愉快に蒼空に翻っていた。
一時間ばかりで買物がすんだ。
「どうする? これから動坂へかえる?」
「僕どうでもいいや」
「また赤坂へ帰るとおそくなるだろうから――じゃあ少し銀座でも歩こうか」
保はひどく嬉しそうに、大にこにこで合点した。
彼らは資生堂でアイスクリームソーダを飲んだ。伸子はストロウを二本とって保に渡し、自分も同じだけのストロウをコップにさした。
「やって御覧なさい、この頃はやる飲み方。――一本の方を吹いてよく泡を立てながら、もう一本の方で飲むの」
保は、何の気なく、
「ふうむ」
二本一度に唇へ当てがおうとしたが、
「やあ! 怪しいぞ、怪しいぞ」
と手を放した。
「すまないが、僕、よく分らないから、姉ちゃんちょっと先へやって見せてよ」
「何でもないわ、ほら」
伸子は、コップから溢れるほど、ソーダの泡を立てて見せた。
「本当?」
保は、少年らしい真面目さで覗いたが、泡が立っている時には、もう一本のストロウを黄色の液体が昇って行かないのを発見すると、本懐そうに体を揺って、ふきだした。