Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
俥に乗りかけていると、あわただしく、廊下を女中が駈けて来た。
「ああ、一寸! お電話でございます」
「どなた?」
「柚木さんとおっしゃいました」
伸子は急いで電話口へ戻った。柚木さんと云うのは、伸子の師とも云うべき、老博士に違いなかった。彼女は、動坂へ来るつい前日、長い手紙を出した。彼女は、昨日今日生理的に持ち堪えきれず、譫言に出そうになった内心の苦しさ、自由な生活への憧れを、その手紙へ吐露したのであった。
先方は夫人であった。
「もしもし、伸子さんでいらっしゃいますか、あのう、宅の代理でございますが、お手紙は確かに拝見致したそうでございます」
伸子は夫人に対し、ある極りわるさを感じた。彼女は無器用に礼を述べた。
「それでね、早速御返事申上げるところでしたが、丁度興津へ参っておりましたもんで、失礼致しました。――あなた、明日やはりそちらにおいでですか」
「はあ、当分こちらにおりますが」
もし伸子が在宅なら、面談したいから、柚木先生自身、伸子のところに来て下さろうと云う言伝であった。伸子は恐縮した気持になった。彼女は、今は足の工合が悪くて駄目だが、早晩、自分で上ろうと思っている旨を云って辞した。