Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
そんな瞬間、言葉は空虚に感じられて恥しい。二人は自然黙りがちになった。佃は、歎息するように呟いた。
「――旅行でもして来たら、君の心持もそのあいだに変るかと、楽しみにしていたんだが……何にもならなかった」
「ね」
泣き出しそうになって、伸子が云った。
「自分だっていやよ、こんなの――本当にいや!……でも、どうにも仕方がない。――あなた、御自分にわかる? あなたが、どんなに可愛くて、憎らしい、憎らしい人だか」
伸子は「にくらしーい」と、節のつくほど力をこめて云って、涙を落した。
三時頃、親戚に泊りがけで行っていた祖母が帰って来た。程なく父も帰った。彼らはやっと救われた。父はアイスクリームの瓶を、伸子に振って見せた。
「ほーら! いいだろう? 佃君歓迎の意を表してね」
椅子から立って、挨拶した佃に向って、彼は愛嬌よくつづけた。
「ホテルででも晩食をやろうかと思ったが、考えて見ると、君はずっと洋食攻めだったろうと思ってね。まあ今夜は一つ、あぐらでくつろいだ方が却ってよかろう」
食卓で、父と佃とはいろいろの関西の都会について話した。祖母は、息子や孫夫婦にかこまれて、至極満悦に見えた。