Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
彼らは大丸という、山の裾の温泉で昼飯を食べた。どんどん、川になって流れる野天の温泉の巌の間に、大勢の男女が裸で入っていた。絵のような光景であった。
そこからあたりの景色が一変し、火山道になった。笹のところどころに、真白く曝された枯木の骨が無残に中折したまま、ぎざぎざ突立っていた。路端の僅かな平地に、硫黄採取人夫の掘立小舎があったりして、いかにも工業山の雰囲気であった。伸子は大丸を出る時、娘づれの親切な紳士に貰った杖を突いて、手間どって登った。やっと頂上が見えた。その前にもう一つ急な攀上りがある。伸子は汗だくだくになって、その手前で立ち止った。
「ちょっと休ませて!」
佃も、大丸に着く前から上着を脱いでしまっていた。それでもびっしょり汗が滲んだ。
「日かげがないからひどいのよ、あ、涼しい風!」
いい心持で風に当っているうちに、伸子はだんだん、噴火の音が気になり出した。硫黄運びのトロッコも、頂上近くでは山腹の彼方側を下りると見え、登山道の上にも下にも、人間の姿がなかった。焼土ばかりのところを、蜒々ただ一筋の細道が三斗小舎の方角に消えている淋しい行手。下の遠い山並。