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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

四

「――私変なの、今夜。――失礼するわ。よろしく、どうぞ」

彼は箱を伸子の膝にのせて去った。それはペルシャ棗の砂糖づけの箱であった。

四

十二月に入ったある晩であった。

伸子は女中部屋に坐っていた。

三尺ほど離れて、とよが、血色よく胸の張ったルノアルの田舎女めいた姿で、せっせと毛糸をまいていた。壁に新聞附録の美人画がはりつけてあり、赤い襟が揮発油で洗って窓の上にかけてある。伸子は心持よく手を動かしていた。小さい時分、母の前に坐って糸を巻く手伝いをした。伸子は、しんなしに綺麗に巻いていっぱいいろいろな色をとりまぜ入れてあった小町糸の箱を思い出した。それが樟の用箪笥に入っていた。抽斗をあける時、ぷーんと樟の香がする。母はいくつぐらいであったろう。彼女はどこか和やかな心持でさえあった。

「とよや、いつもはどうしていたの。一人でできたの?」

「普通の糸なら引っぱってかたく巻いても平気でございますから、一人でできますんですけれど」

とよは伸子が飽きたと感違いをし、急に手を急がせた。

「いいのよ、ゆっくりで。私も面白いから――これからも云えば手伝ってよ」

「有難うございます……」