Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
いつでも、自分の力以下の学生対手でやって行くのは。――それにやっぱり本当のラバラトリー・ウォークは別さ。――却って、別のことを講義して本職は本職でこつこつやる方が純粋な楽しみがあるかもしれん」
「――時間がないね、実に」
「何時間です?」
「十一時間」
「それならまだよろしい――」
「――僕の方の仕事なんぞは、一言見つけるに、一日どころか三日四日かかっても駄目なことがあるんだからね」
伸子は、専門如何に拘らず、熱のこもった仕事ぶりに刺戟される性であった。阪部の、とにかくものして行く努力を見たばかりの時、夫の自身の仕事についての愚痴が、彼女の仕事魂とでも云うようなものにさわった。
「まるで、それでは仕事のできないの、阪部さんの責任みたいね……」
そこへ、伸子さえ予期しなかった工合に、こんぐらかった夫婦の鬱積が絡まった。
「だから、私の云う通りになさるといいのよ。そうすれば、学校は研究の云いわけ、研究は学校の云いわけ、と云うような面倒なことにならなくていいわ」
「全く面倒だね、はははは」
阪部がとりなすように笑い出した。
「何です? 伸子さんの云う通りと云うのは」
伸子は、表面明るい快活さで、すらりと云った。