Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
――自分の内に、佃の受けるだろう同情(世俗的なものとわかり、本当の価値は認めない癖に)に対する嫉妬があるらしく、それを思うと伸子は我を卑んだ。
ふらりとそこへ素子が、訪ねて来た。伸子は意外な、嬉しさを感じた。先夜、近いうちに行きましょう、訪ねましょうと別れたのであったが、素子が約束を、そう早く果そうとは思っていなかった。
「――やっぱり先を越されたわね」
「不精なんですね、あなたも……」
「ひどいの」
上りながら、素子が、
「いそがしいんですか」
と訊いた。
「もう暇よ」
「少し出ませんか。もしよかったら散歩に誘おうと思って来たんだけれど」
伸子は素子に待って貰い、支度をして家を出た。日傘なしでは眩しいくらい快晴であった。二人は昼飯前であったので、初め銀座に行った。軽い食事をすませ、素子が用事のあるK新聞によってから、帝国ホテルの横を通って日比谷公園に入った。
「日比谷は珍しいわ。何年来ないかしら……」
素子がびっくりしたように聞きとがめた。
「――そんなに出ないんですか?」
「こんなところ、一人でてくてく歩いたって仕様がないようなもんじゃないの」
内幸町から入る門の附近には、まだバラックが大通りの樹蔭に軒を並べていた。