Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
タクシーに揺られながら、伸子は、では佃がKへ行ったのか、と考えた。手紙を見て、昨日、彼は前日伸子が立った後へ行ったのだろう。もちろん伸子は、あの手紙だけで万事解決するとは思っていなかった。佃が文面を二三度繰り返して読み、伸子が本気なのを知り、立つ決心をした時の心持が彼女によく察せられた。彼は七分の不安と三分の自信をもって出かけただろう。なぜなら、伸子が別になりたいと云い出したのはもう二年も昔のことであった。彼女は鎌倉に暫く家をもって暮したりまでしたが、結局、彼の涙や当座の熱に負けて来た。今度は少し頑固であろうが、こっちもそれだけ強硬に根気づよくとりかかればよい。そういう、佃の夫としての習慣的な態度が明らかに見え、伸子はうんざりし腹立たしく、彼に対して抱いていたある程度までの公平さまで失うような気がした。今までの自分とはもう違うのだという冷やかな反抗的な心持さえ頭をもたげた。
父と母が、難かしい顔をして坐っている中へ伸子は入って行った。行くのを拒んであるKへ佃が無断で出かけた。伸子はいつ帰るというわけの分らない電報が来たのに、当人の居処はわからない。