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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

佃はからりとペンを投げすて、

「ああ、親父が知ったら、さぞ……」

と頭をかきむしり泣き始めた。伸子には少しそれが芝居じみて感じられた。親の力が何かの役に立つ自分らの間であろうか――それにも拘らず彼女の瞼から冷たい涙が溢れ、するする頬を伝わって膝の上に滴り落ちた。

佃は、よろめくように歩いて、納戸から針金切の鋏をもって来た。そして、縁側に出、隅に作りつけてあった小鳥籠の前にしゃがんだ。紅雀や十姉妹が彼の姿に向って羽搏いた。じっと眺めていたが、

「ああもうこんなものにも用はない!」

と呟きつつ、鋏で網を剪り始めた。バリリ、バリリ、片端から網がめくれ上るのが、伸子の坐っているところから見えた。小鳥どもは、俄な変動に驚き、片隅により集り、悲しげに騒ぎ立てた。大きい穴ができると、佃は、はたはた網の後を叩いた。礫のようについと一羽の十姉妹が破れ目から庭へ飛び去った。続いて紅雀、残った十姉妹。あるものはすぐ縁側の下の沈丁花のこんもりした枝に止った。あるものは、もっと遠い梅の梢まで翔び、急に放たれた空気の広さと自由さを信じ得ないようにチッチッと啼いた。すると、何を思ったのか、一羽の十姉妹が、縁側までふっと戻って来た。