Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
彼らは自分の決心を知ったら、驚き、不快を感じ、憤るかもしれない。否、憤るであろう、一応は。しかし、自分は後に引くまい。最も悪い場合を考えて、それがたとい一生感情上の不和の原因となっても。昨夜も、伸子はこのことを考え、咽び泣いた。そして、どうか両親も、自分の心持は理解してくれるように。佃も、万一運命がそう向いたら、彼らのよき息子となってくれるように、祈った。
次の日、午後の五時過、佃から電話がかかった。伸子は、自分が行くから、七時頃図書館に来ていてくれるように頼んだ。
夕食を、伸子は儀式にでも臨んでいるように味けなく、厳かな気持で食べた。部屋へ戻って、子家鴨の頸に細いリボンの薔薇飾りを結びつけ、薄紙に包んだ。髪に刷毛をかけ、帽子をかぶり、伸子はいつもより少し蒼ざめた顔で外へ出た。
前日の雨は上って、風もないしっとりした晩だ。潤いを帯びた黒い空に、夥しく星が燦いている。街燈の遠い光で、葉のない樹木の梢と、大図書館のドームが、模糊と浮き立つ大学構内を抜けて、アヴェレー・ホオルに行った。佃の姿は見えない。伸子は大図書館へ行き、三階の隅の特別室の戸を開けた。