Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
「サアどうぞ」
ツイ、そんな事を言ってしまったのでした。
さて、座が定まると、お経を読むでもなく、念仏を称えるでもなく、尼法師がおもむろに取り出したのは、緞子の袋に入った紫檀の十※(「火+(麈-鹿)」、第3水準1-87-40)香箱、一重口白磁の香爐に、流儀の炭団を入れ、銀葉を置いて、
「…………」
静かに一礼して、名木を※(「火+(麈-鹿)」、第3水準1-87-40)きます。素より香合せという程ではありませんが、行摺りに好める道の窘みを見せてくれるのは、何んとなく奥床しいもの、丈太郎も会釈を返して聞香の形を改めます。
相手は墨染の法衣を着て、豊満な肉体と、醜い顔とを持った見る蔭もない比丘尼ですが、※(「火+(麈-鹿)」、第3水準1-87-40)いた香は実に素晴らしいもの、白磁の香爐から立ち上る香煙を聞いて、丈太郎は思わず眼を見張りました。
六十余種の名香、一つとして諳んじないものは無いと信じ切って居る丈太郎ですが、この香ばかりは得体がわかりません。少し強過ぎるようですが、湿っぽく媚を含んで、聞く者の五体の血を湧き立たせます。
一体香は閑寂幽雅なもので、此の様に刺戟の強い媚態のある筈のものではありません、尊い仏像仏具まで盗んで焚いた位、鼻観外道では引けを取らない丈太郎ですが、あまりの艶かしい香気に、思わず顔