Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
眼が覚めると若様に変って居た
――こいつは素晴らしい夢だ――、
私は茫然そんな事を考えて居ましたが、それにしては妙に現実性が濃厚で、何時も見る夢とは気分も道具立もすっかり違って居ります。
「若様、御夕食の用意が出来まして御座います」
精練された若い女の次高音が、耳障り美しく側に響きます。
もう一度重い瞼を押し開くと、ツイ目の前に、十七、八の美しい腰元が、深々とした絨毯の上に、いともつつましく立って居るではありませんか。
眼が覚めると若様に変って居た
私はかなり横着者ですが、生れてから、まだこんなに驚いたことはありません。
橋の下の大地の臥床が、贅沢乍ら落ち付きのある、最上等の寝室に変って、荒筵がスプリングの寝台に化け、街灯の遠い光が、美しい電灯の近い光に、そして何時も私の寝込を襲って、叩き起こす髯武者のお巡りさんが、思いもよらぬ美しく若い女中に変って居るのです。
どんな仙女の銀の杖だって、こんな素晴らしい魔術が出来るわけはありません。私は豚の児から王子様に変えられた、アラビア夜話の中の人物のように、暫らくは呆気に取られて、口を利くことも出来ませんでした。
「あの、皆様お待ち兼ねで入らっしゃいます」