Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
最後の勝利
二人の歓会は悪魔的で、奔放で、疲れも知らず、羞恥も良心も知りませんでした。
恐ろしい九日間は、斯うして夢のように過ぎましたが、十日目の晩、歓楽が漸く酣になろうと言う時、不意に切支丹坂の方から、澄み切った夜の空気に響き渡って、凛々と聖なる歌と尊い祈りの声が、いとも高らかに聞えて来たのでした。
梅仙女は恐れ慄き、江柄三十郎は石に打たれたように打ちひしがれました。併し歓楽の余燼は、その下から情火を煽って、恐れと疑いとの中にも、二人の宴楽は暁方まで続きました。――それは本当に惧れも恥も知らぬ悪魔の戯れでした。
最後の勝利
切支丹屋敷に忍び込んで、聖歌と祈祷を口吟んで居た婦人は、旗本江柄三十郎の妻と知れましたが、その懐から十字架とポルトガル語の祈祷書が現われた為に、狂人と言う身寄りの者の申立も通らず、明暦三年松が取れると間もなく、鈴ヶ森で磔刑にあげられることになって終いました。実に電光石火の審きですが、切支丹宗門を極度に迫害した当時では、決して珍らしい事ではなかったのです。
白無垢を着て罪状を書いた高札を前に立て、裸馬に逆に乗ったお夏の美しい姿は、切支丹を悪魔鬼神の如く恐れた当時の人も、何処までも何処までも蹤いて行って、涙を流して別れを惜んだと言うことです。