Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
熱祷の二重唱
お夏は界隈に住んで、その辺の事をよく知って居りますから、わけも無く中に忍び込んで、イスパニア人のアルフオンゾに近づくことが出来ました。この人は元和の殺戮に殺されたように伝えられて居りますが、仔細あって命だけは許されて切支丹屋敷に囚閉され、それから三十年、この時はもう八十近い老宣教師です。
座敷牢の小窓から、よく澄んだ月を眺めて、故郷イスパニアの事を考えて居ると、フト影が射して、窓の下に立った者があります。
「誰じゃ」
「ハイ」
「誰じゃと申すに」
「坂本クララの娘、夏で御座います」
「何、坂本クララの娘、夏と申すか」
アルフオンゾも驚きました。窓から差し覗くと、青白い月光に照し出されて、水を浴たように美しい若い女、思案に余る風情でションボリ佇んで居ります。お夏の母親の本名は楽と言い、切支丹名をクララと言ったことは手筐の中の遺書で知った事でした。
「何用があって来た、此処は女子供の来る場所ではない」
アルフオンゾの真白な毛が月の光に揺いで、碧色の眼が慈愛に満ちて瞬きます。
熱祷の二重唱
お夏は窓越しに、涙と倶に訴えました、自分の知ってること、人から聞いたこと、色々取り交ぜて、教父アルフオンゾの前に何も彼も打ち明けてしまったのです。