Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
恐ろしい疑い
礼子に対する疑いは、非常に濃厚になりましたが、併し、それも砂上の楼閣で、十時十分から今朝まで私と一緒に渋谷のアパートに居たことは、アパートの番人もよく知って、居りますから、此処にも上等過ぎるほど上等の不在証明があります。
さて、この辺の事情を詳しくお話すると、まことに面白いのですが、これは探偵小説ではありませんから、大急ぎで最後の結着だけを申し上げます。
一と口に言えば、これほど証拠が揃って居るのに、此の事件は到頭犯人は挙らなかったのです。「ビルディングの殺人事件」として、皆様の中には、未だ記憶して居られる方も少なくないでしょう。
恐ろしい疑い
私と香川礼子の間は、此の血腥さい事件を転機として、妙にこじれて、疎々しくなって行きました。私の心の中に蟠る不思議な疑いの為に、礼子に対して、火のような愛情を感じ乍らも、妙に近づき難い心持になって居たのでしょう。
私は、礼子に双生児の姉妹がありはしないか――という疑いを、かなり根強く持って居ました。併しタイピストとして採用の時出した戸籍謄本にも、そんなものは無く、渋谷のアパートにも、二人住んで居る形跡は絶対にありません。