Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
身の代が三百金
多分――、あんな醜怪な長虫を這わせた身体だから、腥臭い匂いでもするだろうと思った左馬之助は、出来るだけ娘の身体に触れないようにして居りましたが、間もなくそれは大変な間違だったことに気が付きました。
娘の身体から発散するのは、長虫の腥臭い匂いではなくて、それとは似も付かぬ、一種馥郁たる甘さです。
甘草の匂い、――いや忍冬の匂いと言う方が適切かもわかりません。蛇は多分この処女の体臭に酔わされて、娘の思うままになるのでしょう。
身の代が三百金
二人の武士は、それから暫らく、両国の蛇使いの見世物に日参しました。左馬之助の興味が益々加わって、次第に白熱的になって行くのを見て、軍次の片頬の、皮肉な微笑が次第に深くなって行くのは何うした事でしょう。
到頭、左馬之助は、行くところまで行き着いてしまった時、
「どうだ南条、近頃は大分熱心のようだが、あの娘を貴公の手に入れる気は無いか」
「えッ」
「驚かなくたって宜いよ、どうせ此の儘では済むまい。俺に任せて見るか」
「金之丞が手離すまい」
「何んの」
話はそれっ切りでした。が、四、五日経つと堤軍次は、
「あの話は大分目鼻が付いたよ」