Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
妙子は一万円で私の手に
妙子は必死と抗いましたが、男の力にはもとより及ぶべきもありません。殆んど折檻でもするような調子で、嫌応なしにモデル台の上に押し上げられてしまいました。
「残酷だ、止せ止せ」
多勢の中から、そんな声も聞えますが、巽九八郎はまるで取り合いません。
「私のところなどに居るよりは、此の女の為にも仕合せだ、大方の紳士諸君、サア幾ら」
ニヤニヤ取って付けたように笑顔を振り仰ぎ乍ら、巽九八郎は少し気違い染みた大声をふり絞ります。
妙子は一万円で私の手に
巽妙子の美しさ、あの魅惑的な、そのくせナイーヴな、素晴らしい顔は皆様も御存じでしょう、身体も日本人にしては珍らしく整った方で、小麦色の素肌の美しさなどは、外国人の肌にも滅多にありません。
踊りも上手な方で、セント・デニス風の、動きの少ない芸術的なものを得意にしましたが、兄貴と称する巽九八郎が名題の悪で、直ぐ尻をまくったり、居直ったりするので、何処の小屋でも鼻ッつまみで、近頃はズッと舞台を休んで居りました。その上九八郎には飲む打つ買うの所謂三道楽があり、首も廻らぬ借金を作ったという話がありましたから、この日の競売なども、よくよく生活に困った九八郎が、例の臆面もなさで思い付いた一と芝居だったかも知れません。