Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
殿様と美女と桜狩の狼藉
手文庫の中から出してやった、手金の百両を引き掴むと、堤軍次は一足飛びに両国へ。
殿様と美女と桜狩の狼藉
蛇使いの娘お金を、南条左馬之助の長屋へ入れるまでには、一と通りならぬ献立が必要でした。軍次の手で一応宿へ下げて、知合の商人を仮親にして、奉公人という名義で南条家へつれ込んだのは、それから一と月ばかりの後、奉公人が客分になり、妹分になり、間もなく妻とも妾とも付かぬものになって、しまったのを、家族の者も、近所の衆も、当然のことのように見て居りました。
お金の素姓を知らない人達は、お金の輝やくばかりの美しさに舌を巻いて、これが奉公人で納まって居るものとは最初から予期もしなかったのです。この時代道徳観念から言っても、百五十石取りの若い当主が、妾の一人や二人置いたところで、世間の問題になるほどの事ではありません。
お金は全く不思議な女でした。素姓も育ちも、随分怪し気なものだったには相違ありませんが、その美しさにも、性格にも、妙に流動性があって、蛇使いの娘にして置けば蛇使いの娘に、士分の妻になれば、士分の妻に、それぞれの境遇に応じて、何んのこだわりも無く順応して行く性の女だったのです。