Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
前口上はお退屈のもと、いよいよ錦太夫をお目通りまで控えさせまアす」
チョン、と木が入ると、浅黄幕を切って落す、――舞台正面は泥絵の具で描いた弁天様の遠見、程よいところに控えて居るのは、水の垂れそうな島田娘、わざと黒地の大振袖に、蜀紅錦の肩衣、物馴れた調子で、土間一パイの観客に微笑を送ります。
これを見ると、客席から、
「ワーッ」
と煮えこぼれるような歓声があがって、その間を、「イヨウ大将」「確り頼むぞ」「殺してくれ」などと言った、地廻りらしい調子の良い声で飛び交すのでした。
「どうだ南条、蛇使いにも大した代物があるだろう」
堤軍次は左馬之助の耳に囁きます。
「うむ、まア美しいな」
「痩せ我慢を言ってはいけない、そう言っては失礼だが、お雪殿より外に女が無いように思って居る貴公は、あまりと言えば世間を知らない――」
「黙れ、無礼だろう」
声は低いが、左馬之助の口調には、押え難い憤怒が漲ります。
「ハッ、ハッ、ハッ、怒るな怒るな、もう少し見るが宜い」
堤軍次はまるで相手にしません。
腹を立て乍らも、南条左馬之助も、この錦太夫とか言う蛇使いの娘の美しさを承認しないわけには行きませんでした。