Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
「サア、五十銭、この三脚が五十銭、これでも巴里で買って来たんだから、たった五十銭は可哀想だ、もう一声――」
などとやって居りました。
其の調子は如何にも享楽的で下品で、甚だお座の醒めるものでしたが、折角やって来たものですから、何んとか手頃のスケッチでも落そうと言った、取り止めの無い考えで、私は前の方へ割り込んで行きました。
御存じの方もあるでしょうが、巽九八郎というのは、悪魔の申し子見たような男で、人間としては、あれほど始末の悪いのは滅多にありません。出鱈目で、嘘つきで、悧巧で、執拗で、全く箸にも棒にもかからぬと言われた人間ですが、絵を描かせると実に大したもので、悪魔的にグロテスクな、一種特別に風格のある表現であったにしろ、あれほどの豊かな天分を持った男を、私はあまり沢山は知りません。
人格的な非難なら、何んな先輩にも受けが悪く、あらゆる展覧会から構われて居る有様で、世間はあまり巽の名前も作物も知りませんが、あの男の絵ばかりは全く大したものでした。
「サア今度は絵だ、驚いちゃいかんよ、巽九八郎の全作品を提供するんだ。彼方にもある此処にもあると言ったチャチなインチキな絵じゃ無い、第一番に三十号の風景、これはラインの夏景色で、思い出の深い絵だが、思い切って出して了う。