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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

妙子はすっかり萎れてしまって、日蔭の花のように淋しく、青白く、大きい息も吐けないように縮こまっておりました。

「どうしたのだ、もう少し晴々した気になれないか」

「私は死に度い、少しでも美しさが残っている中に」

「馬鹿な事を言っちゃいけない」

そんな不吉な会話は三日に一度はキッと繰り返されました。

妙子ばかりでなく、私自身の上にも何んとなく不快な不安な日が続きました。

いや、私自身ばかりでなく、私の家総体が、何んとなく陰気に、不愉快に、忌わしく、薄暗くなって行ったのです。女中の一人は、二階の廊下で怪しい者を見たと言って、翌る日は暇を取って帰って行きました。永い間勤めた老執事は、何んの理由もなく階子段から落ちて、かなりヒドイ怪我をしました。

「何うしたんだ、六十年も登り降りして居る階子段で怪我をするというのはよくよくのことじゃないか」

私が斯う言うと、執事は怨めしそうに私の顔を見上げて、

「近頃この家が不吉になりましたよ、先代様の頃はこんな事は無かったが――」

何やら奥歯に物の挟まったような事を言ってそれっきり黙り込んでしまいます。

妙子が来たこと――つまり正式な結婚をしたわけでも無い、素姓の怪しい女が入り込んだことが、もろもろの不吉や不祥事の原因だと、此の老人は思い込んで居るのでしょう。