Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

「仕様が無いなア」私は降参して、妙子の寝台の端っこに立って、懐中電燈で額の裏を照しました。

「あれッ」何に驚いたか妙子は、悲鳴をあげて布団の中にもぐり込み、ガタガタ顫えて居ります。

「何うしたんだ、吃驚するじゃないか」

飛び降りて布団を剥ぐようにすると、

「怖いッ、額、額」真っ蒼な顔を、寒天のように顫わせて、力一杯布団を引っ冠ろうとします。

「額には何んにもありゃしないじゃないか」

仰げば、美しい妙子の半身像が、何んの蟠りもなく笑みかけそうで、怖いものなどは一つもありません。

「額の絵を透して御覧なさい」妙子は斯う言うのが精一杯です。

「何?」私はフト気が付きました。もう一度妙子の寝台の端っこに登って、枕元の小さいスタンドを引き寄せ、電燈の灯いたまま額の裏へ入れて、斯う下から見上げました。

「アッ」私も危うく気を喪うところでした。妙子の美しい半身像は消えて、その下から現われたのは、半分腐れかかった骸骨、眼も鼻もうつろになって、怨めしそうに大きな歯を噛み合せ、肉の剥脱しかけた不気味な肋骨には、数知れぬ青蠅と蛆が湧いて、ぞろぞろと這い出しそうになって居ると言った――思いもよらぬ物凄まじい絵です。