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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

鐘楼と言ったところで、これも型ばかり、去年の秋の嵐に半ば崩されて、大釣鐘も落ちかかって居るような有様、其処へ藤色の大振袖を飜した怪異が、笹穂の手槍に追われて、三、四回ぐるぐると繞るうち、逃げ場を失って、落ちかかって居る鐘の下へ、パッと飛び込んでしまいました。

アッと言う間もありません。

鐘楼は一とたまりも無く崩れて、釣鐘は怪異の上へガバと落ちてしまいました。鐘に心あっての事か、兎に角、不思議な廻り合せです。

その内に、夜中乍ら多勢の者が騒ぎを聞いて駆け付けます。

息せき切って飛んで来た相生総左衛門も、此の様子には全く仰天してしまいました。

「先生、如何で御座いました」

「お、御主人か、曲者は鐘の中へ伏せられた。が、世上の為、止めを刺して置こう」

高蔵人、崩れた鐘楼の上に突っ立ち上り大釣鐘を睨んで槍をしごいて居りました。

「して、あの正体は?」

「今にわかる、御覧下され」

一歩下って、鐘を見込んだまま、皆朱の手槍を流儀に構えました。

傾きかかる月を受けて、高蔵人の引き緊った顔の半面と、笹穂の尖が青白く光ります。

「エーッ」

と一喝。

電光の如く槍をくり出すと、鐘楼の上に伏せられた鐘は僅かに喝と鳴って、槍の笹穂を千段巻まで呑みました。