Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
それでも、こんな月並な慰めの言葉が私の心持を裏切って、私の唇からお座なりらしく出て来るのでした。
「私は何うしたら宜いでしょう」
女は初めて口を切りました。
私の胸から離れて恥らう風情に俯向くと、美しい額から、少し高い鼻筋が、青白い月の光に浮いて、一種言うに言われぬ悩ましい心持を描いて行きます。
ウエーヴの跡の少しばかり残る髪、身だしなみは良いが、少し草臥れた袷、すべての様子が何んとなく「零落」を思わせますが、言葉の爽やかなのも、背の高いのも、帯の低いのも、何かしら知識的な洗練を見せて、唯の娘でないと言った趣を、はっきり相手に印象付けます。
「一体、何うなすったんです」
「私は心細かったんです」
「と言うと」
「身寄りも、お友達も何んにもありませんし、第一私は職業も無くしてしまったんです」
「そんな事なら、死ぬには及ばないでしょう」
近頃世の中を風靡して居る職業難が、この異常に美しい娘からも、パンを奪ったのでしょう。
「でも、私には、此の先何うして宜いかわからなかったんです」
「貴方は今まで何をして居ました」
「タイプライターを少し」
「英文ですか、和文ですか」
「英文の方で御座います」