Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
情熱の焔
このようにお菊へ注意するからであった。お菊は父を愛していた。愛する父の不同意を排して、恋しい男の左内の方へ、走って行くことは本意でなかった。
黙ってうつむいているお菊の横顔へ、鬢の毛がかかって顫えている。
情熱の焔
しかしお菊にはどのような理由から、左内とそうして自分との恋を、父がさえぎるのかがわからなかった。
「お狂言の弟子の左内様としては、お父様は左内様に親切で、愛してもいれば尊敬してもいられる。嫌っても憎んでもいられない。それだのに二人の恋仲ばかりは嫌ってもいられればさえぎってもいられる。これはどういう理由からであろう? 妾と左内様とは身分や家柄が余りにも隔たり過ぎている。それに不安をお感じなされて、恋仲をさえぎろうとなされるのであろうか? でもお父様は芸匠だけに、そういう身分の高下などには、昔からずっと無頓着であられた。ほんの一時の慰み物として、妾をそそのかしているのだと、このように思っていられるからであろうか? いやいやそんなはずはない。左内様が真面目で一本気で、潔癖であられるという事は、お父様にも承知していられる。では何か深い事情があってお父様は二人の恋仲をさえぎられるに相違ない。