Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
隣りの部屋
――間! しばらくは静かであった。戸外で吹く風の音ばかりが聞こえる。しかし隣り部屋から女の声が聞こえた。
「……屏風へかけるがよいよ!」
隣りの部屋
その声を聞くと四人の武士は、眼を見合わせてまたも笑った。
その中の一人の武士がいった。
「屏風へかけるがよいよ、か、……うむとうとうそこまで行ったか」――で、じっと耳を澄ませた。
「俺にもそういうことがあった」もう一人の武士がややあっていった。「で、俺は帯を屏風の上へかけたものだ」ここでその武士は考えるようにしたが、「その時俺の献上の帯が、キューキューと鳴ったのを覚えている。そうしてあの縮緬の帯が、先に枝垂れた花のように、屏風の上にかけられてあって、なかば眩んでいた俺の瞳に、焼きついたのも覚えている」――この武士もじっと耳を澄ませた。しかし隣りの部屋からは、何の物音も聞こえなかった。
仕切られているところの襖の桟の、隙間がかなりあいているので、隣りの部屋をのぞこうとしたら、十分のぞくことはできるのであった。いやいやのぞくことができるばかりではなくて、むしろそこからのぞかせようとして、意識して桟をあけてあるのだと、そう思われる節さえあった。