Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
図面の数々
眉毛のない老女がつぶやくようにいった。
「よい家相でございますな。――四面高くして中央平坦、ここに家宅を構えるものは、富貴延命六畜田蚕、加増されて名誉の達人起こり、君には忠、親には孝、他に類少なき上相となす――家相にピッタリとはまっております。どこの農家でございましょうやら?」
――で、三人の老女たちを見た。
「どこの農家でございましょうやら」
隻眼の老女はこう答えておいて、こごませていた体を上へのばすと、投げるように頭を背後へやった、と、すぐその顔を燭台の燈火が照らした。額にも頬にも紐のような、太い皺が幾うねかうねっていて、乏しい燭台の燈火の光に、陰をなすまでに深くもあった。「江戸の界隈に建てられた、農家のようではございませぬな。建て方がいかにも田舎じみております」
「美濃あたりの建て方でございます」
ややあってこのようにいったのは、鼻柱の曲がっている老女であった。「それにしても不思議でございますな、小丘の麓に赤い色で、十文字が三つ記されてあります」
その十文字の赤い符牒を、たしかめようとするかのように、その鼻柱の曲がっている老女は、いよいよ体をこごませて、顔を図面へ押しつけるようにした。