Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
火の手あがる
そこを二人は進むのであった。
「泉嘉門の近況はどうか?」こう美作が声をかけたのは、しばらく歩いた後のことであった。
「今日もようすを見ようものと、嘉門の屋敷へ参りましたところ、嘉門は不在でござりました。が、娘がおりましたので……」こういって来て桃ノ井兵馬は、荒淫らしい笑い声を洩らした。
火の手あがる
桃ノ井兵馬の荒淫らしい、笑い声を聞くと北条美作は、さすがに不快になったらしく、手に持っていた扇の先で、刀の柄を烈しく打った。と、カッカッと音がして、すぐに白い物が胸の前で躍った。カッカッと柄を打った拍子に、扇が開いて白い地紙が、月の光をはねたからである。
「嘉門が不在で娘がいたとか? その娘をお前はどうかしたのか?」――すると、兵馬はまた笑ったが、
「お菊と申す嘉門の娘は、高貴の姫君にも劣らないほどにも、美しくて上品にござります。で、……」というとまた笑ったが、心ありそうに黙ってしまった。
その心ありそうな兵馬の沈黙が、いよいよ美作を不快にしたらしく、
「嘉門の娘のお菊という女子の、美しくて上品だということについては、伜の左内から聞き及んでいるよ。であればこそ伜の左内めが妻にしようなどと悩んでいるのだ」