Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
強気の姉弱気の弟
……すると今日の仕儀でござる。……しかしそれにしてもなんのために、拙者の足を薙ごうとしたか、この点ばかりは拙者にも疑問で。……が、どっちみちそのようなことはよろしい。とにかくこやつを介抱して、呼び生かして邸から追い出しくだされ」
フッと武者窓から外を見たが、
「おうおう、とうとう日が暮れてござる。稽古も今日はこれまでといたそう。さあさあお帰りなさるがよい。拙者はこれから例の所へ参る。庄田氏、菰田氏一緒にござれ」
こういいすてて面籠手をはずして衣裳を着換えて門弟をつれて、山県紋也が邸を出たのは、初夜を過ごしたころであったが、そうやって紋也が出て行った後の紋也の邸の奥の座敷で、しめやかに語っている男女の者があった。
一人は紋也の妹の鈴江で、もう一人は弟の小次郎であった。
強気の姉弱気の弟
「水戸様の石置き場の空屋敷へ、今夜も兄上にはまいられましたようで。私には不安でなりませぬ」
十七歳の小次郎は、まだ前髪を立てていた。紫の振り袖でも着せたいようなきゃしゃな美貌の少年武士である。肩などはなだらかで女の肩のようで、細い首の上へ面長の顔が、あぶなっかしそうにのっている。