Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme

Aozora Bunko

ところでその老人は老人として、左近将監様や北条美作様を、幕府方の元兇として敵としているし、また将監様や美作様は、その老人を京師方における、ちからのある陰謀の大立て者として、敵として憎んでいられるらしいのだよ」

いつか友吉をはじめとして、四人の乾児たちは往来を行きつくして、神田川にかけてある橋の上へその姿を現わした。

橋の欄干が月の光に濡れて、これも霜でも下りたかのように見える。おだやかに、流れている川の水の上にも、霜のように月の光が降りそそいでいて、水明りをボッと立てている。対岸には水谷町だの鞘町だのの、ゴチャゴチャとした小さい家ばかりを持った、町家町が黒々と横たわっていたが、屋根を抜いて高い火の見櫓が、星を頂きに飾りながら、四方を見まわして立っているのが、夜空に風情を添えて見せた。鞘町の向こうが佐久間町なのである。

「そこで水戸様石置き場の、空屋敷へ親分と俺たちの仲間が、今夜乱入しようとするので、大学者で鯨で死んだ老人って奴が、人数を出そうというのだな」

「とすると紋也とその老人とは、一味徒党というわけだな」

「そりゃア一味徒党だとも。でなかったら紋也を助けようとして、人数を出す気づかいはないからなあ」