Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
石置き場の空屋敷
というのは一人の若衆武士が、佐久間町のほうから風のように、二人のほうへ走って来たが、美作の身体へぶつかったのであった。
「無礼者めが! 粗忽千万!」
「火急の場合、お許しのほどを……」
「おっ、貴様は山県小次郎か!」
「どなたでござるな?」
「桃ノ井兵馬だ!」
「斬れ!」と美作の声がした。
が、この時火事の光が、両国の空を深紅に染めた。水戸様石置き場の空屋敷が、今や焼き討ちをされたのである。
石置き場の空屋敷
水戸様石置き場の空屋敷などといえば、化物屋敷めいて聞こえはするが、決してそのようなものではなくて、一種の下賤の歓楽境なのであった。水戸様の建築の用材の石を、積み重ねておく置き地があったが、空地は凄いほどにも広かった。で全然必要のない、無駄な空地もあるわけである。そういう無駄な空地の所へ、いつからともなく家が建ったが、これが大変な家なのであった。というのは今日の言葉でいえば、バラック建てとでもいうべきであろうか、ろくろく鉋も掛けないような、粗末な薄っぺらな板を集めて、きわめてやにっこく造られたもので、家の内で灯されている燈火の光が、板の隙間から見えようという、そういう大変な家なのであったが、しかし本当の「大変さ」