Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
「水戸様石置き場の空屋敷へは、今宵も兄上には行っていられるはずだ。火事のためにお怪我でもなさらなければよいが」――で、たたずんでしばらく見ていた。火事は盛んになるらしくて火の手が見る見る大きくなった。
「隙のない兄上であられるから、お怪我などなされる気づかいはないが、でもなんだか心配だねえ」――しかし鈴江は女の身空で、たとえ火事場へ駆け付けたところでなんの役にも立ちはしまい。……こう思って出かけようとはしなかった。がいうところの予感でもあろうか、何となく兄の紋也の身の上に、変事があるような気持ちがして、しだいに心持ちがいらいらして来た。「そうだ誰かにようすを見て来て貰おう」――で、鈴江は内門弟を呼んだ。
「代地様代地様ちょっと来てくだされ」――と、玄関に近い部屋から、男の答える声がしたが、すぐに襖をあける音がして、二十八、九歳の質朴らしい、代地という武士が姿を現わした。
「お嬢様ご用でございますかな。……や、これはこれは火事でござるか」この時まで勉強をしていたのでもあろう、青表紙の本を持っていた。
「あのね」と鈴江はすぐにいった。
「兄上が行っていられるのだよ。