Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme

Aozora Bunko

お粂ものがれたようすだったのに、安心をして引き上げたが、衣裳はズタズタに裂けているし、手足からは血汐が流れているし、乱れた髪は顔へかかっているし、それに途中の用心として、脇差しは持って行かなければならない、その脇差しは血に塗られている――、金兵衛の姿は物凄かった。で、大通りなどを通ったならば、人に咎められる恐れがあり、咎められては危険であった。で、あちこちとまわり道をして、露路や横丁をくぐり抜けて意外に時を費して、今ようやくこの屋敷の前へ、たどりつくことができたのであった。

見れば一人の老人が、門の裾のあたりにうずくまって、抱き膝をして眠っている。「酒にでも酔っているらしい。それにしても道端で眠るとは、のん気至極の老人ではある」こう思って金兵衛はおかしかったが、その老人の眠っている前の、往来の上に白々と月の光に照らされている、巻いた紙と綴った紙が、風にあおられて置かれてあるのを見るや、疑念を起こさざるを得なかった。「なんだろう?」と口の中でつぶやいたが、老人の正面へ歩いて行って、老人との間へ二品をはさんで、金兵衛はそっとかがみ込んだ。巻き奉書の一部分が解けていて面を月が明るめていた。