Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
水難を怖れるためか、どうかは知らないが、私は性来、水に浸る事が大嫌いである、いかに三伏の酷暑であっても、海の風に吹かれると私の血は、腹の奥座へ逃げ込んでしまうのだ、ましてその水の中へ浸る事はなかなかの事なのである。やむをえないお交際から入ったとしても私の唇は、見る見るうちに紫色と変色して、慄えが止まらないのである。
この頃のように、海水浴とか水泳とか、女が寒中に抜き手を切るとかいう事の流行する時代において、かかる事を申上げるのは、誠に恥かしい次第であるがいたし方のない事だ。従って私はいまだかつて水に浮いて見たためしがないのである。
静坐法というものが一時流行を極めた時、何んでも人間は、腹の中へ空気を押し込まなければ死んでしまうように聞かされたものだ。貴様のようなペコ腹は、うんと下腹で空気を吸えと随分うるさく説かれたものだ。幸この頃は静坐も下火となったので助かったと思っている。私は実行しなかったけれど幸にして、ほそぼそながらも死にはしなかった。
ところが海水浴や水泳は静坐法よりも面白いものと見えて一向下火にならないので弱っている。大に盛んに泳いで見る事は頗る海国男子として結構な事であるが、人は自分のすきな事を他人にすすめたがるものなのだ。