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Japanische Klassiker mit Furigana

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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme

Aozora Bunko

蟋蟀の箱

蟋蟀の箱

今、秋となって、私の画室の周囲にあらゆる虫が鳴いている。その中には蟋蟀も鳴いている。この蟋蟀という奴が私に辛い思いをさせた事があるのだ。私は蟋蟀の声を聴くときっとそれを思い出すのである。

私が小学校へ通っている時分だった。私の家のあった堺筋は、今こそ、上海位いの騒々しさとなってしまったが、その頃はまだ大阪に電車さえもなかった時代だ。ちょっと裏手へ入るとかなりの草むらや空地が沢山にあったものだ。私の家の向いにも土蔵と土蔵との間に湿っぽい空地があって、陽気不足の情けない雑草が茂り、石ころと瓦のかけらが、ごろごろと積まれてあった。

秋になると、そこには蟋蟀が鳴くのであった。私は学校から帰ると私の友達と共にこの空地へ這入ってじめじめした石ころや瓦を持ち上げて、その下から飛出す蟋蟀を捉えるのが何よりの楽しみだった。

初めは石鹸の空箱へ雑草を入れ、その中へ捉えた蟋蟀をつめ込んだ。私たちは学校から帰るとその箱をそっとあけて見るのだ。すると、萎びた雑草の中から蟋蟀のつるつるした頭と髭が動いているのを見て、何んともいえず可愛くて堪らなかった。

私は何んとかして、も少しいい住宅を彼らのために作ってやりたいと思い、私は手頃なボール箱を持ち出して、その中をあたかもビルディングの如く、厚紙で五階に仕切り、沢山の部屋を作り