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Japanische Klassiker mit Furigana

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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme

Aozora Bunko

酒がのめない話

やがて彼女は完全な亀の甲となって退院したが以来、はかなきその一生を棒となった片手に環をはめて、それへ糸を通し残された右手をもって糸車を廻しているという。

それから彼女を食べた悪食坊主であるが彼は自殺のあった翌日から行方不明となってしまったそうである。坊主は亀を食べて中毒した。

(「週刊朝日」昭和二年九月)

酒がのめない話

ある初夏の頃だった、私は誘われて戸山ヶ原へ出た。一人の友人はポケットにコップを用意し、も一人はビールを携げていた。五月の陽光は原っぱの隅々から私たちの懐中から、シャツの中まで満ちてしまい、ある温くさがわけのわからぬ悩ましさを感ぜしめ、のどを渇かさしめ、だるく疲らしてくれた。そこでわれわれは何か素晴らしいものが欲しいようなさもしいような感情を抱きつつ草むらの匂いを吸いながら寝ころんで青空を眺めたものだった。

友人はビールをうまそうに飲みはじめた。私は実は一滴の酒も飲めないのだ。アルコールは私の心臓にとっては猫いらずであった。でも私はあらゆる酒の味を他の何物よりも好むのだからまったく私は難儀な境遇にあるといっていい。私はのどを渇かしつつ羨ましくそれらを眺めていたものだから、友人は、まあビールのことだ、一杯位はいいだろうといって私のためにコップを捧げてくれたので、あまりの羨ましさに、ついがぶがぶ