Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
芝居だけは十年位、欠席していても決して時代に遅れないのだという自信を私は得たものである。なるほどこの芝居なら、せめて何か食いながらでなくては見ていられないかも知れない。芝居見物というのはあの狭い桝の中で家族親類は懇親を結び、芸妓は旦那と、男は女と、懇親を結ぶ場所であり、そして舞台では余興をやっていると見る方が本当かも知れない。
その代り舞台では、いかに名人といえども見物人が背を見せて勝手な話に耽り、勝手にめしを食い酒を飲んでいるのだから、今必要なせりふを申し上げましょうと思っても、少しも見物人へ通じないのだから、まったく何をする張り合いも抜けてしまうことだろう。かくして役者と見物人はお互いに殺し合うのではないかと思う。
以来私は時々それでも芝居は見に行く。しかしそれは疲れたらタクシーへ乗る心もちで芝居へ行く。煙草の代用、カフェーのつもりで行くというきわめて不埓な見物人である。まさに大阪的見物の致し方である。だから舞台では何をしていてくれても一向差し支えはないのだ。手品でも旧劇でも新劇でも浄瑠璃、落語、何でもよいのである。要するに見物人の懇親を邪魔さえしなければよいのである。