Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
D
E
F
G
ちょうど仕掛花火の如く空へ火焔が吹き上がりシダレ柳が落ちて来た。その花火の中に月が美しく輝いていた。キネオラマみたいやないかと母と話していたのである。母は淋しい顔してだまって眺めていた。
D
三越の八階の丸天井の真下を、母が雲に乗った如く平気で歩いている。ちょうどサーカスの空中美人大飛行の光景だった。母の昇天を私は感心して眺めていた。
E
ある晩、母が坐っていた時汽車がその膝頭を轢いて走った。私は驚いてその膝を見ると真黒く焼けて火の粉が蛍の如く光っていた。この夢は私の七、八歳の頃に見たものだが、今にその火の粉の色を覚えている。
F
白いチョークで雨戸へ虚無僧の図を描いていたらその絵が動き出して来たので、私は逃げ出してふとんの中へもぐり込んでしまった。そしてそっと覗くと、枕もとへ本当の虚無僧が立って私を見おろしていた。これも七、八歳の頃の夢だと思う。
G
一六ミリのフィルムに映った自分の顔の大写の頬に大変な皺が現れていた。もちろん私の口の近くには三本の皺が四、五年前から現れてはいるのだったが、かくも深刻なものとは思わなかった。まるでそれは象の尻の皺だと私は思った。