Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme

Aozora Bunko

それらの水々しき夏の力が人間世界にあってはあらゆる男達を車や人ごみの中で、彼女達の肉体にまで吸い寄せもする。

この点、秋は汗と脂を去り、臭気を止めそれらは内攻して内に蓄積され、やがて寒さへの用心であり、来るべき春への身構えのつもりもあったりして、とかく秋の人間世界は多少の慎しみがあり品格高きが如く私には考えられる。したがって人間の秋の顔は一年中のもっとも品位高い時ではあるまいかと思う。それは中秋の月の顔とも相通ずる点がある。

太陽がわれわれの頭上へ日々に近寄るということと、太陽が一日一日南へ去って行くこととで、春秋の重大な差が生じてくる。

満潮時に人間の魂が生まれ、引き潮時に魂がこの世から去って行くと昔の人は教えてくれたが、それは科学的にみれば本当かうそか私にはわからないけれども、さもそれは左様ありそうな心地がする。私の父が死んで行く時、母が臨終の時、誰かが小声で今ちょうど引き潮時ですというた不気味な記憶が、私の頭の底にこびりついている。

潮が引いて行く、光が去って行くということは何しろ陽気な心を起こさせない。その代り多少とも真面目であり厳粛であり笑いごとではすまされない。