Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
まず大体からいえば、日本人にとっては山高などは似合わない帽子であるが、幸いにも左様な正確な様式のものはようやく衰えつつあることは日本人にとっては何よりのことかも知れない。
要するに、どんな形のものであっても、それを皆のものが被り着なれてくることによって、着こなすだけの工夫が現れてくるものである。したがって買いたての帽子、仕立ておろしの洋服、新調の靴、もらいたての細君位ぎこちなく、自分自身になり切れないものはない。
私の学生時分、人からソフトをもらったことがあった。どんな形にして被ればいいか、まだよく飲み込めていないその夜、浅草千束町の銘酒屋を観賞して廻った。その時障子の中から一人の女が、随分似合わない帽子を被っているわね、と叫んだものだ。私は、私の心の穴をえぐられた心地してびっくりしたことを今に忘れ得ない。しかしながら一目にして観破するところの随分敏感な女の神経に敬服したものだった。
その代わり被り慣れた帽子こそはわが手足でありわが顔、鼻、口である。いかにお粗末であり、汚れていても捨てるに忍びない愛着を生じる。
帽子は西洋から日本人の頭へ渡来したが、散髪もまた渡来せるものの一つであろう。