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Japanische Klassiker mit Furigana

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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme

Aozora Bunko

それから頭を洗ってからポマードか何かをこってりとなすりつけ、一糸乱れずてかてかに光らせることである。私の好みでは、一糸乱れている方が心安くていいので、まア簡単にざっとやってくれと注文しても、職人へは一切通じない。彼は黙って一生懸命平手で髪をピッタリと固めてしまう。やがて鏡に映る私の顔が色魔医者の相貌となった時、ヘイどうもお待ち遠さまと彼はいう。私は出てから早速私の頭をハンケチでぬぐいひっかき廻してしまうのだが、でもべっとりとしてその日は友人にさえも合わす顔がない気がする。

ことに女が髪結床や美粧院から出て来た時の姿位、飛び上がった感じのするものはない。彼女は何と大変な頭を捧げていることか、凝り固まった耳隠しや光輝ある日本まげを戴いて、目だけ動かしつつ電車道を横切っている。

その整然と出来上がった頭は、買いたての帽子の比ではない。しかし帽子は凹ましぐせをつければ、先ず四、五年間は愛用出来るが女の頭が本当に自分自身のものとなる頃には、再び美粧院の門をくぐらねばならぬ頃である。

すると、本当に自分自身のものである間ははなはだわずかな日数だけであろう。

ある友人は、パリのしゃれものは仕立ておろしの服を直ぐ着用して外出はしないと話したことを記憶する。