Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
人間が鹿に侮られた話
巴里でも伊太利製や、アメリカ、英国製品がかなり多く入っていますが、純フランス製のものの中に私の注文通りの型が沢山あるのでした。
私はサンミッシェルのある帽子屋へ飛び込んで、一番好きな黒の中折を一つ買って、勇んで下宿へ帰ったのでした。
鍔の狭い事は格別でそして急角度深く巻き上っているのです、その角度に何んともいえない味があるのです。
巴里の極く普通の男がよくこの帽子を冠っています。それが私の今なお愛用している帽子であります。ところがもう三年余りにもなりますので、よほど古ぼけてしまって色も変って来たようです。
本国の巴里でさえ、もうこんな形は流行していないかもしれません。目下堪らなく心細い思いをしている次第。
しかしながら、こんな場合の用意にと思ったわけではありませんが、山が円くて、鍔がそれはうんと巻き上った黒の軟かい帽子をマルセイユで、買って置いたのでした。これは、まだそのまま、トランクの底にフランスの匂いと、ナフタリンの香気と共に安眠していますので、やや心安んじている次第であります。
人間が鹿に侮られた話
ある夏のことでした。今フランスに滞在している大久保作次郎君と私とが奈良の浅茅ヶ原の亭座敷を借りて暮していたことがありました。