Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
私は一人で風景写生に出ることを好まなくなったのはどうもその時以来らしい、画家の健康と、モティフとの関係は随分密接であると思う。大きなトワルを持って幾里の道を往復するという仕事は私にとっては先ず絶望の事に属するのである、従って私は静物と人物を主として描きたがる、これはモティフが向うから私の画室へ毎朝訪れてくれるから都合がいい、多少腹が痛くても仕事は出来るが風景は向うから電車に乗っては来てくれない、風景画家には健康と、マメマメしい事が随分必要である事と思う。
それから間もなく、やはり胃のふくれている或日の事、私は活動写真を見に入った、すると蛙の心臓へアルコールを灌ぐ実写が写し出されたのであった、蛙の心臓が大写しになるのだ、ピクリピクリと動いている、ああ動いているなと思う瞬間、アルコールの一滴がその心臓へ灌がれたのだ、すると、そのピクリピクリの活動が、とても猛烈を極めて来たのだ、おやおやと思うと同時に私の心臓は蛙と同じ昂進を始めて来た、私の眼はグラグラと廻り出した、驚いて私は館から飛び出した事があった。
ともかく私は私の厄介の腑のために随分人に知れない、余分の苦労をつづけている次第であると思う。