Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
当時十二や十三歳の小供が、大工の生活などに興味が持てるはずがない、それがまた賃金の問題だからなおさら無関係だ。大工が何時間働こうと汽車がいくら走ろうと、玄米が何銭であろうと、私の知った事ではないという心が、早速、私の腹の底へ横わるのであった。いくらの買物をして釣銭がどうとかこうとか、全くそんなケチな事はどうだっていい、釣銭はいらないよといった心が横わり出すと最早や到底私の力でも先生の力でも親の力においてさえも、この横わりたるこの心は、動いてはくれないのだ。従ってこの問題を解こうなどという柔順な気もちには決してなれないのだった。
その上、私はまた小さな時分から、いろいろな雑念に悩まされる人間であった。雑念といってもいろいろとあるが、一例を挙げると、今は田舎にのみ残っている処の、祭礼に引き出す地車というものがあった。この囃子が私は大好きだった。鉦と太鼓でチキチン、コンコン、といった調子が連続するのだ。それから芦辺踊りとか都踊りの囃子も大好きだった。ずらりと並んだ舞子たちが、キラキラと光った鉦を揃えてたたくのだ、チャンチキチン、コンコン、というのだ。これが馬鹿に華やかで気に入って、心の底へ浸み込んでしまったのであった。