Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

これをきいて敦子さまは別に反対もしませんでしたが、さりとて又成る程と思いかえしてくれる模様も見えないのでした。

それでも、その後幾年か経って、男の方があきらめて、何所からか妻を迎えた時に、敦子さまの方でも我が折れたらしく、とうとう両親の勧めに任せて、幕府へ出仕している、ある歴々の武士の許へ嫁ぐことになりました。それは敦子さまがたしか二十四歳の時でございました。

縁談がすっかり整った時に、敦子さまは遥るばる三浦まで御挨拶に来られました。その時私の良人もお目にかかりましたが、後で、『あんな美人を妻に持つ男子はどんなに仕合わせなことであろう……。』などと申した位に、それはそれは美しい花嫁姿でございました。しかし委細の事情を知って居る私には、あの美しいお顔の何所やらに潜む、一種の寂しさ……新婚を歓ぶというよりか、寧しろつらい運命に、仕方なしに服従していると言ったような、やるせなさがどことなく感じられるのでした。

兎も角こんな具合で、敦子さまは人妻となり、やがて一人の男の児が生れて、少くとも表面には大そう幸福らしい生活を送っていました。落城後私があの諸磯の海辺に佗住居をして居た時分などは、何度も何度も訪れて来て、何かと私に力をつけてくれました。