Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

三、輿入れ

世の調理法が大へん手数のかかるものであることはうすうす想像されるのでございます。あの大そう甘い、白い粉……砂糖とやら申すものは、もちろん私達の時代にはなかったもので、その頃のお菓子というのは、主に米の粉を固めた打菓子でございました。それでも薄っすりと舌に甘く感じたように覚えて居ります。又物の調味には、あの甘草という薬草の粉末を少し加えましたが、ただそれは上流の人達の調理に限られ、一般に使用するものではなかったように記憶して居ります。むろん酒もございました……濁っては居りませぬが、しかしそう透明ったものでもなかったように覚えて居ります。それから飲料としては桜の花漬、それを湯呑みに入れて白湯をさして客などにすすめました。

斯う言ったお話は、あまりつまらな過ぎますので、何卒これ位で切り上げさせて戴きましょう。私のようなあの世の住人が食物や衣類などにつきて遠い遠い昔の思い出語りをいたすのは何やらお門違いをしているようで、何分にも興味が乗らないで困ってしまいます……。

三、輿入れ

やがて私の娘時代にも終りを告ぐべき時節がまいりました。女の一生の大事はいうまでもなく結婚でございまして、それが幸不幸、運不運の大きな岐路となるのでございますが、私とてもその型から外れる訳にはまいりませんでした。