Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
入って行って驚いた。無慮三四十名の聴衆がみんな御老体ばかりで、白い鬚をしごきながらしゃちこばっている。当方夏向の膝をキチンと折って上座に坐ると、そろってサーッとお辞儀をされた。何か一言いうたびごとに、ハヽーン!と頭をさげる人が多い。ことごとく面喰って、急に日本アルプスの話を富士山の話にし、木華開耶姫命のことや何かでお茶を濁しはしたものゝ、満喫した凉風にもかゝわらず、背中にしみ出る程汗をかいた。
◇
大町から立山をぬけて富山まで酒を求めて歩いた時も、相当に困った。勿論山で酒を飲もうなんていうのが悪いので、それに、この旅は始めから終りまで、儼正アルピニズムの立場から見れば、批評外ともいうべき邪道であった。だが、何等の職務を帯びず、また責任も持たずに、気の合った友達と、まだ本当の登山期に入っていない時、いわばブラブラと山へ入ったのだから、呑気になったのもやむを得まい。
一行は三人、大町のM君と案内者のK、それに僕で、いずれも多年の交遊がある。六月一日だかに大町を立った。雪の多い年で、扇沢を渡る頃からポツポツ雪が現れ、大沢の小屋には排雪して窓から入った。