Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.193 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

五月十五日

自己を正しとする自負もます。悲劇的にばかり人生を感じる。真の悲劇的人格と云うべきものか。

五月十五日 小雨

須田町の乗換を待つ間に買った桔梗の根、一寸ばかりの芽を出した。あまり元気がなく、根の大きかった割合に芽生は貧しい。

四五日、薔薇の花、剪り切れないほど沢山咲く。美しく、部屋中薔薇の花で埋る。但、時候の故か、朝の蕾は午後満開になり、僅か一日の寿命ほかない。

十二日の土曜日、昼頃の汽車で鎌倉に出かけた。二月に借りた家が十五日迄の家賃を払ってある。自分は行かず、林町の人々も、行けば春江ちゃんのところに泊るので、一軒の家は何の益にも立たない。今月ぎりで返そうと云うので、その荷物とりまとめの用向を持って行ったのであった。

暖く、初夏らしい日光が漲り、お濠の畔、新緑の色が、実に眩ゆい程鮮やかに見える。自然の素直な、意義ある美に対し、三宅坂の寺内の像は、愚にもつかないものと感じる。

「あの静かな濠の水、石崖の壮重な調和に向い、しまりのない、気魄に乏しい銅像は、何の感興も与えない。それ以上、風景に対して、のびやかな古典の愛を覚えて居た心持を、グザと打壊す現日本式悪趣味が充満して居る。