Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.193 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

九月八日

夜番して居る。本田の道ちゃんは又、ちっとも共同精神を持たず、ひとりで勝手にふるまい皆の不快を買う。

お雪、日本橋の務めさきをやき出されて来、米をくれと云う。こちらもないところなので一升やる。

たか子供づれで来、金十円を貰ってかえる。

九月八日(土曜)晴

朝三時頃、基ちゃんに起して貰い、夜警の人々にパン、暖いのみものを配り、自分達の食事をし、五時すぎ林町を出、二人で青山に帰る。白山の坂を降るともう模様はがらりとかわり、指ヶ谷、餌差町、辺の電車通りに、小屋がけをし、避難民が住み、往来は、草鞋がけ、旅装束の人で絶え間ない。春日町、壹岐坂辺、何処が何処やら見当もつかず。水道橋に出て、右へ麹町の方、左へお茶の水の方を眺め、涙も出ない心持になった。まるで、郊外の坂路のようだ。神保町までにいやな人のこげた臭いがする。神田の古本屋、一握の灰燼、爼橋通れぬ為、ずっと右を廻って九段上からずっと下町を見渡したら、両国の国技館のドームの骨が、きなくさい霞の間に見えた。ポツポツやけのこりの鉄骨が立って居るばかり、櫛比した通並は一目で本所まで見晴せそうだ。三宅坂へ出て、半蔵門辺のやけ跡を見る。