Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
「換えさせましょう」
家には同じ型のものが三つばかりあった。健三は下女を呼んで茶の間にあるのと取り換えさせようとした。しかし島田は生返事をするぎりで、容易に煤で曇った火屋から眼を離さなかった。
「どういう加減だろう」
彼は独り言をいって、草花の模様だけを不透明に擦った丸い蓋の隙間を覗き込んだ。
健三の記憶にある彼は、こんな事を能く気にするという点において、頗る几帳面な男に相違なかった。彼はむしろ潔癖であった。持って生れた倫理上の不潔癖と金銭上の不潔癖の償いにでもなるように、座敷や縁側の塵を気にした。彼は尻をからげて、拭掃除をした。跣足で庭へ出て要らざる所まで掃いたり水を打ったりした。
物が壊れると彼はきっと自分で修復した。あるいは修復そうとした。それがためにどの位な時間が要っても、またどんな労力が必要になって来ても、彼は決して厭わなかった。そういう事が彼の性にあるばかりでなく、彼には手に握った一銭銅貨の方が、時間や労力よりも遥かに大切に見えたのである。
「なにそんなものは宅で出来る。金を出して頼むがものはない。損だ」
損をするという事が彼には何よりも恐ろしかった。